「マーケット感覚を身につけよう」(ちきりんさんの本)を数回にわたって紹介してきました。これまでで、「マーケット感覚」を持つことがいかに重要かはわかったと思います。
いよいよ、その鍛え方に関することです。
ここからです。ここからが本当に大事なところです。
方法は5つです。
その1 プライシング能力を身につける
その2 インセンティブシステムを理解する
その3 市場に評価される方法を学ぶ
その4 失敗と成功の関係を理解する
その5 市場性の高い環境に身を置く
今回はその1,その2について。
その1 プライシング能力を身につける
自分独自の価値基準
市場で取引されておらず、値札もついていない「潜在的な価値」に気づくための、
自分独自の価値基準を身につけることが必要です。
「価値を判断するための自分独自の基準」を身につける一番よい方法は、
すでに値札がついて売られているものについても、自分の基準に基づき、
プライシング(値付け)をしてみることです。
「値札」や「相場」は他者の判断結果です。
みんなが支払っている値段です。それより高いか安いかではなく、
自分にとってはどうであるかを考えることが必要です。
コスト積み上げ発想からの脱皮
コスト計算は供給者の発想です。
マーケット感覚で求められるのは、
需要者(消費者)が妥当だと感じる価値を推定する力です。
コスト計算は、誰がやっても同じ価格が出てきます。
しかし、市場で妥当だと認識される価格はその人の価値基準によって大きく異なります。だから、プライシングができる自分独自の価値基準が身につくと
①自分にとってこの商品(サービス)の価値はいくらか?
↓
②他の誰かにとってこの商品(サービス)の価値はいくらか?
↓
③この商品(サービス)を最も高く評価する人は、どのような人たちか?
↓
④この商品(サービス)を、誰に向けて売れば、価格は一番高くできるのか?
もしくは、一番たくさん売れるのか?
という形で思考を進めることができるようになります。
上手く行っている企業の商品は実はこれができている。
需要者側からのプライシング能力を身につける訓練が大切なのです。
本来モノやサービスの価値は人によって異なるのが当たり前
経済の教科書なら必ず載っている需要・供給曲線のグラフでは、価格はあたかも需給ラインが交差する一点で、ひとつの価格に決まっているように見えます。
が、実はそうではないことをポイントカードを例に上げ、説明しています。
(これだけ読むだけでもカラクリがわかってためになりますよ)
オークションサイトでの出品などもいい練習になるそうですよ。
さっそく、やってみましょう。
その2 インセンティブシステムを理解する
インセンティブとは、人が何か特定の言動をとったときの背景にある要因(動機)です。その要因が言動につながるまでの仕組みが、インセンティブシステムです。
その理解が、市場における需要者や供給者が、何に基づき、次にどんな行動を取るのか、推測し、予測する力につながるのです。
人はお金のためだけに行動するわけではない
他人の行動に「お金のためだ」という考えが浮かんだら、自分ならば同じ行動を取るだろうか考えてみましょう。
そうすると、お金以外の動機が見えてきます。
「人が動く理由や仕組み」、すなわちインセンティブシステムについて深く考える癖をつけていきましょう。
自分の欲望に素直になろう
成功しているビジネスパーソンは、自分の欲望にとても正直だし、かつ、ストレートにそれを表現します。
自分の欲望に素直に向き合うと、他者の欲望や、人間全体に共通するインセンティブシステムについても、理解が進みます。
日本では学校や家庭で「我慢すること」に価値がある教育をしますよね。
でも、解決法が我慢では進歩なしです。
「お皿洗いがしたくない」という意見をワガママとしてとらえてるのではなく、
要望としてとらえ、表明すべきです。
我慢するのではなく、もっともっと声を上げるべきなんです。
(もっと職場や、社会に対して発言すべきなのです。
少し話はズレますが、おい職場の上司!気やすく下の名前で呼ぶんじゃねー!というべきです。直接はいいにくいと思うのでSNSでいおう。)
そういうことが、新たな付加価値への気づきとなるのです。
規制や罰則で問題を解決しようとしない
なんらかの問題に直面したとき、「人間のインセンティブシステムに働きかけて、この問題を解決できないか?」と考えてみることも重要です。
(規制や罰則って本当にカンタン。ダメっていえばいいだけ。思考停止です。
もっと考えてよ。というご意見ですよね。
ちきりんさんが素晴らしいのはこういうことがいえることだと思います。)
「どうやったらもっとみんな自発的に、望ましい方向に動いてくれるのだろう?」と考えてみる方が、社会の進歩につながります。
「自分の価値基準を持とう」とか「自分の欲望に素直になろう」とか、生き方について教わった気分です。そうやった方が人生楽しいですし、それをやった人がいたからこそ社会は発展してきた。身の回りにあるモノやサービスは、人々の欲望を汲み取ったもの。受け入れられているということはそういうことですよね。
非常に有益な事ばかり書いてある「マーケット感覚を身につけよう」。
ぜひ読んでみてください。
では、また次回。このシリーズまだ続きます。(予定ではあと2回)
ホイじゃ、また。